フランコ君の目安箱

主に学校教育について、江戸時代の”目安箱”のように、フランコ君なりの意見や主張を投稿します。皆さんの考える際の”目安”にもなればと思っています。

「大阪都構想」について思うこと

どうも、フランコ君です。

最近、本業が忙しくて、なかなかブログを書く時間がとれておらず、投稿の間隔がかなり空いてしまっています。しばらく連載してきた『特集』については、いろいろ内容を調べたりまとめたりして書いてきたのですが、それもしばらくできていません。

そこで、まとまった時間がとれるようになったらまた『特集』を再開することにして、ここで一旦軽めの記事をあげることができればと思っていました。

"フランコ君はもうブログをやめてしまった"と思われてしまうと困りますのでね。

 

今回の記事では、11/1(日)に投票日を迎える「大阪都構想」について、私なりに感じていることを書いていきたいと思います。

住民投票はもうすでに告示され、期日前投票も始まっていますが、全国的な知名度や関心はどうなのでしょうか。

関西人である私にとってはやはり重要な問題なので、様々な情報を集めています。しかし、正直なところ、(都構想に関してだけでなく、情報というものはいつも)だれの言っていることが正しいのかわからないし、真偽は闇の中、またそれは情報を発信している側もわかっていないものなのだろう、とつくづく感じています。

私の周りにいる大阪都構想賛成派の人たちに話を聞くと、そのほとんどが”大阪がこのままやったらアカン”とか”何か改革しないと大阪は前に進まない”といった意見が出てきます。これは私からするととても抽象的であり、観念的な意見に思えています。

そこで、以下、(私が間違った情報を見聞きし、信じこんでいることも大いにあると先にお断りしたうえで)自分なりに考えたことや疑問に思った点を書いてみようと思います。

 

大阪都構想」とは

 

まず、大阪都構想とは何か、ということを書かなくてはいけないでしょうが、具体的なことは調べていただけば出てくるので、少しばかり乱暴に一言で説明します。

大阪都構想とは「政令指定都市"大阪市"を廃止して、4つの"特別区"に解体・再編する」という政策です。

ちなみに、仮に大阪都構想を行なっても、実際に名称が"大阪都"に変わることはなく"大阪府"のままで、しかし"大阪市"という自治体名はこの世から無くなるようです。つまり、厳密には"大阪都"構想ではないのです。

政令指定都市とは、人口50万人以上の市のなかでも、一定の行政能力があると政令で指定されている大都市を指します。政令指定都市になれば、本来は県が行う行政サービスの一部を任され、そのための財源も移譲されるので、県ではなく市の責任のもとで行うことができる業務が発生するそうです。つまり、特別な権限と財源が与えられるので、地域独自の住民サービスをするといったこともできるようになります。

大阪都構想が実現すれば、大阪市という政令指定都市が無くなるため、このような権限・財源も大阪から無くなってしまう、というのがもともとの都構想案でした。そこで、1年半ほど前から急遽公明党が法定協議会に加わったこともあり、もう一度そのあたりが見直されました。政令指定都市ではなくなるものの、市民にとってはあまり大きな変化なく生活ができる制度が作れるくらいの財源が確保できる見通しがたったので、即座に今回の住民投票に踏み切ったというのです。

 

疑問:なぜコロナ禍の今、住民投票なのか?

 

そもそも論です。都構想の内容云々はさておき、これが私の最大の疑問点です。テレビ番組やビラ等をいろいろ見てきた私ですが、これに対して納得のいく答えはなく、賛成派は答えることを避けているようにも思われます。

今は何かを争う時ではなく、コロナウイルスという未曾有の感染症にオール大阪で立ち向かう時ではないか、とやはり感じてなりません。

都構想は後回しにして、コロナ対策を先に存分にやってから住民投票をする方が、"勝つ"確率はどう考えても上がりますよね。

しかし、それをしたくない理由があるのでしょう。答えはシンプルだと思います。松井一郎大阪市長が今回の任期限りで政界引退を決めているからだと思われます。

いわば維新の"代表"であり"顔"である松井市長を失ってからの住民投票には消極的になった、そして、これまで橋下徹氏政権から都構想を推し進めてきた松井市長に最後の花道を用意したい、この2点なのではないかと私は考えています。

 

疑問:大阪市を無くす必要があるのか?

 

全国には、メリットのある政令指定都市に昇格することをめざし、中核市どうしで合併を試みるようなケースも少なからずあります。そんな"政令指定都市"を大阪市は自ら放棄し、中核市と同等かそれ未満の"特別区"を設置するのです。できることならば大阪市を無くしたくない、というのはとても自然な意見でしょう。

私自身は「学校教育」の分野にかなり関心があるので、そこに焦点化して考えることにします。

現在、大阪には「大阪府」と「大阪市」の2つの教育委員会が存在します。都構想が実現されれば、それに伴ってこの大阪市教育委員会」も4つに分割されるそうです。しかし、ここで疑問なのが、独自の教育委員会を設置することができるのは、政令指定都市に与えられた権限だったはずではないか、ということです。つまり、"大阪市"が無くなるのであれば、「大阪府教育委員会」に教育業務が一本化されるはずでしょう。

これについては、学校というのは人々の生活や地域社会に根差した営みであるから、各特別区が担うことになるのだ、というロジックで特別区教育委員会」が4つ作られることになるのです。私の知る限り、大阪都構想にはこのような"例外"が他にもかなり生まれる可能性があります。大阪都構想だ」と大々的に打ち出し、大阪市という名称は廃止するものの、大阪市のコミュニティや枠組みは維持しないと運営が難しい、という前提があるのです。

あるいは、今回のコロナウイルスに対しての大阪としての取り組みについてです。大阪府下においては、大阪市の感染者数が半数以上と飛び抜けているそうです。なので、大阪市だけの医療資源では十分に処理できないことを見込んで、吉村府知事が陣頭指揮をとり、"大阪府"にコロナ対策本部のような機関を別個で作って、そこが大阪市も含めた大阪府全体のコロナ対応を行なっているようです。

これを知った私は素人なりにこう感じました。大阪市を廃止しなくても、実質的な都構想は実現できるのではないか、と。わざわざ時間もお金も人手もたっぷりかけなくとも、"広域事業は大阪府、住民サービスは大阪市"という、今回の都構想の考え方と同じことができる条例か何かを作ってしまえないのか。政令指定都市を維持しながら、府市で役割分担ができるような仕組みに変えることによって、二重行政くらいは解消できそうな気がしてならないのです。

吉村・松井両氏は、「現在の大阪は人脈によって実質二重行政がなくなっているだけだ」と主張しているようですが、だから"大阪市"を無くそう、というのは少し短絡的ではないでしょうか。(細かいことは私自身わかっていないので、実現不可能なことなのかも知れませんが。)

 

疑問:二重行政の解消→大阪の経済成長?

 

大阪都構想の最大の目的は、二重行政の解消です。政令指定都市である大阪市は、これまで大阪府とどうも折り合いのつかないことばかりで、何をするにもなかなか前に進まない、これが賛成派の方たちの論調です。

そもそも、この二重行政という大都市特有の現象は、今に始まったことではなく、全国的な課題の一つではないかと私は思います。例えば、北海道と札幌市、神奈川県と横浜市なども立派な二重行政ですね。

橋下徹氏以来の維新を中心とした賛成派の主張どおり、二重行政が市民生活にまで影響するのなら、大阪以外の地域においても同様に特別区へと再編するように、国として対策をとるべきだと考えられます。地方分権を強調する政党なんかも多いなかで、非効率的な仕組みをそのままにしておく必要はないでしょう。

また、吉村府知事や松井市長らの考えによると、「二重行政を解消することによって府内の政治の役割分担が明確になり、政治がうまく機能する仕組みができ、そして大阪が元気になるので、東京一極集中を打開することができる!」のだそうです。二重行政を解消することで政治がしやすくなる、というのは異論の余地もないでしょうが、それは政治家の立場であって、市民生活や経済成長とはまた別次元のお話のように私には思えますね。大阪を元気にするために、首都・東京の急成長にヒントを得るのは悪くありませんが、東京が都政になったこととの因果関係は果たしてどのくらいあるのか、論理の飛躍ではないか、と感じますね。

 

フランコ君なりの結論

 

私はこの都構想について様々な情報を集めていますが、正直、以上のように多くの疑問点が残ります。

都構想は可決されれば改革が前に進むのではなく、基本的には特別区に再編したあとに各特別区でそれぞれ話し合いをして進めていく内容がたくさんあります。つまり、「細かいことは特別区に再編してから決めるから、どうなるかはあまりわかりません」という前提があることを、大阪市民はまず理解しましょう。これからより深く詳細に議論して決めていかなくてはいけないことも山積みなので、民意を裏付けに「2025年の実施」というタイミングをまずは押さえて、決定事項としたうえで急ピッチで話を詰めていくことになります。

なので私としては、よく決まっていない政策をまだ世に出さなくても、例えば、来年の10月頃に衆議院の解散に伴う選挙があるわけですから、その時に併せて都構想の住民投票を行ってもよいはずだと思うのです。そうすれば、あと1年、もう少しだけでも議論が進んだ内容をもとに、大阪市民は判断できたでしょう。

 

そして、何よりも大阪市民が理解しなくてはいけないのは、大阪都構想には「かなりのお金がかかる」という点です。賛成派によると数百億円、反対派によると数千億円です。それだけのお金をかけて政策をするのですから、一定以上、大阪の政治が前に進むのは当たり前のことです。別の方策であっても、数百億円かければ何か変革できそうにも思います。

本当に都構想ではなくてはならないのか?あなたが求める以上に大阪市が成長しそうだと思うか?これを問いかけながら、情報を整理してとらえていく必要があるでしょう。

 

まとめ的な話

 

今回は、投票日が間近に迫る「大阪都構想」という都市改革案をテーマに、あくまで私が素人なりにいろいろ情報を見聞きし、感じた疑問や意見を書いたまでです。軽い記事とか言っておきながら、途中から勢いづいてきて、結果かなりの長文になってしまいました。

読み返してみると、都構想の内容云々ではなく、そもそも論ばかりになっていますね。基本的に私は政策の内容の議論よりも、むしろこういった問題の背景や周辺的な憶測みたいなものを好むタイプです。

この選挙戦に関しては、賛成派・反対派ともにデータで示して主張を展開しているものの、その真偽はやはりよくわかりません。個人的には、賛成派のほうが正しいデータを出しているように思えるのですが、注意深く話を聞いていると、結局のところそれらも希望的観測に過ぎないだろうと思います。

 

現状、大阪都構想に対しての市民の意見は、賛成と反対が拮抗しています。可決されても否決されてもおかしくないという状況です。そもそも、地方の自治体のあり方が別のものに変わるのに、拮抗してギリギリ過半数で可決されてしまった場合、反対派は黙っていないだろう、とも思いますが。

ここから賛成派・反対派ともに攻勢をかけてくることでしょう。あとは、大阪市民の民意がどうなるか、楽しみに見守りたいと思います。

 

それでは。